学校の先生へ
はじめに
このハンドブックは、南あわじ市内の小・中学校、企業などで福祉学習を推進するために、役立つ情報を提供する ため作成しました。「なぜ、福祉学習が必要か?」「福祉教育を通して何を学び、何を伝えるのか?」を社協という 立場からご提案できればと思います。
大切なことは、学校関係者・地域住民・児童・生徒が一緒になって、同じ地域で生活するひとり暮らし高齢者や、 障がい者の存在を知り、思いや悩みを共有することです。そこから、さまざまな生活や生き方があることに気づき、 福祉問題、福祉活動の意味や役割に関心をもち、生活課題を抱えている人を理解し、深い思いやりの心が生まれ るのだと思います。
このような「気づき」は、子どもたちや私たち大人が成長していくためにも大切なことなのです。
子供も・地域も・ともに育ちあう福祉学習
福祉学習とは
「みんなの ふ(ふだんの) く(くらしの) し(しあわせ) を考えるための学習」のことではないかと思いますが、いかがでしょうか。
言葉でいうと分かりにくいかも知れませんが、以下の3つの考えを大切にし福祉や人間に関心をもち、自ら行動する人々が増えることをめざしています。
- 気軽に進めよう。福祉の理解からはじめなくても大丈夫
- 困っている人の困難を理解しよう
- そのために何ができるのか考え、やってみよう
福祉学習を通して
子どもたちに「5つの力」を引き出すことが求められます。
- 人や自分を思いやる力
- 自分で考え行動する力
- 事実を受け止め自分で考える力
- 自分の思いや考えを人に伝える力
- 違いや自分を認める力
ところが福祉学習と言うと
手話や点字の学習をすること、車いす体験をすること、さまざまな当事者の方との交流体験をすることなど、いわゆる福祉に関わる体験をすることそのものが目的だという誤解があるようです。
これらの取り組みは、子どもや地域が変わるきっかけにはなりますが、ただ体験の場があることだけでは充分ではありません。繰り返し体験を重ねながら、関係が変わる様子を楽しみに見つめ、さまざまな人が関わる機会や子どもたちの意欲・自発性が高まる機会を創りだす支援者の存在が不可欠なのです。
そこで
学校の先生方や子どもたち、そして地域のみなさんを私たちが応援しながら福祉学習を進めるお手伝いの具体例を提示します。
事前相談
今までの取り組みをさらによくしたい、などのご相談をボランティアセンターの担当者がお伺いします。ご相談内容に応じ学校周辺の社会資源や活動する学年、実施時期を参考に授業の企画づくりをサポートします。
講師・受入先紹介
授業内容に応じて適切な講師や受入先を検討し、ご紹介させていただきます。ただし、講師や受入先は日頃は仕事をされています。そのため直前の申し入 れには対応できないこともありますので、日程には十分な期間が必要です。
機材貸し出し
ボランティアセンターでは、福祉学習で使用する福祉用具の貸し出しを行っています。体験用機材の貸し出しは希望が集中する時期がありますので早めにご予約ください。
発表・見学
子どもたちの発表の場を見学させていただきたいと考えています。今後、よりよい体験を進めていくため、また広報などへの掲載にもご協力ください。
体験相談
体験学習は当事者への理解を深める効果的な学習です。しかし、目的をどのように設定するのかで意味合いは大きく変わります。
例えば、単に「車いすの押し方を学ぶ」のが目的でなく「障がいのある方の生き方にふれる」や「優しい心を育てる」ことを目的としているはずです。
体験学習は、このような目的を達成するための手段であって、体験学習自体が目的ではないこと、そして本来の目的を達成する上で、当事者の方からお話しを聴くことも重要だと考えます。
体験活動に使用する福祉体験グッズのご紹介
障がいのある方や高齢者の方の生活を理解するために補助用具として、地域・学校での福祉学習にご利用ください。
貸し出しには事前に予約が必要となります。体験を行う学校が多い時期や、急な要望にはお応えできない場合がありますので、お早めにご連絡ください。
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体験用車いす
自走式は、ご利用者自身が動かして移動する標準型車いすです。介助式は、移動には介助者が必要なタイプです。互いの信頼関係により、移動の安全性が確保できます。
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高齢者疑似体験用具
体験者自身が用具を着けることで高齢者の行動・動作などの変化が体験できます。
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アイマスク・白杖
視覚障がいの疑似体験は、アイマスクや白杖を使用し階段の昇り降りなどについて体験してみましょう。使用の際には、ティッシュを目とアイマスクの間にはさみ感染症を予防しましょう。
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点字盤
点字盤を使って点字を実際に打ってみる体験をします。点字は、書く時と読む時では逆さまになるので、小学生が実際に覚えるのは難しい面があるようです。また、相当の訓練をしないと触読は身に付きません。しかし点字がどんな所で使われているかなどを学ぶことで、障がいのある方のことを知るきっかけとなっています。